コラム
子どもたちは真っ直ぐな柔らかい感性で、日々いろいろなものを吸収しながら成長していきます。子どもの現場にいると、その目の輝きや反応から、子どもは大人にはない感性で本質や本物を見抜く力があると感じることがよくあります。子どもたちのいいものを見分ける力、受けとめる力には驚かされます。優れた芸術との出会いは子どもの心を揺さぶり感性に働きかけてきます。ですから、「子どもにこそ最高の芸術との出会いを」という考え方を大切にしています。
一人ひとりの存在が認められ、安心して表現できる場があることで、子どもたちはのびのびとその感性や表現力を発揮していきます。さらにその表現を受けとめてくれる人がいることや、一緒につくりあうことの喜びや充実感、みんなで何かをつくりあげ、なしとげることでの達成感、次への創作意欲を生み出すなど、子どもの表現活動は自分に自信を持ち、人との共感、共同の力を生み出す、子どもの生きる力を足元から大きく支えます。
子どもは遊びや物語をつくっていくのが上手です。子どもの創造性を最大限に発揮できるような環境があると、あふれるように創造力を発揮していきます。
例えばグリム童話の「おやゆびひめ」に出てくるお花の家や、「ヘンゼルとグレーテル」に出てくるおかしの家など、自分も入ってみたいなあとか、本当にあったらいいなあと思い描いたことでしょう。そうしたファンタジーの世界を楽しむことと、現実の実体験の両方を行ったり来たりしながら、子どもは本当のことを認識したり、こうあったらいいなあと夢や目標に向かっていく力や創造力を育んでいきます。